イントロダクション/ストーリー

イントロダクション

1983年、ロサンジェルス初演。三年後のロンドン再演では、ハロルド役をイギリスの名優アルバート・フィニーが演じ、話題を呼び、その翌年に映画化され、世界中で繰り返し上演される名作として、不動の地位を築く。

日本では86年に劇団四季によって上演され、市村正親氏がトリート役を演じ、00年には椎名桔平氏、根津甚八氏、伊藤高史氏が出演し、サンシャイン劇場にて上演された。

誰もが感じたことのある切ない心情を何気ない会話の中に散りばめて描いた名作として、今尚愛され続けている。

一軒家に暮らす兄弟と一人の男性の繊細なセリフ劇が、谷賢一氏の翻訳により、新たに生まれ変わる。

深く傷つけば傷つくほど、信じるには勇気がいる。三者三様に迷い、苦しみ、再生しようとする絆の物語。

ストーリー

アメリカ・フィラデルフィアにある老朽化した長屋。そこが彼らの居場所だった。

誰も知らない、閉ざされた世界に暮らす兄弟、利発ながら凶暴的なトリート(柳下大)と天真爛漫なフィリップ(平埜生成)。

親のいない二人は、トリートの盗みで日々の生計を立てていた。

ある日、トリートはバーでハロルド(高橋和也)と出会う。金持ちと思い込み家に監禁、誘拐を目論むが、ハロルドは意に介さず、トリートに自分の仕事を手伝うように持ちかける。

奇妙な共同生活の中で二人に富と理性、教養とともに、生きる道を教えていくハロルド。家から出ようとしなかったフィリップは自分が住む世界を知り、トリートは人との繋がりを感じるようになる。

大きな孤独と小さな温もりを分かち合う三人の孤児たち(オーファンズ)に訪れる、思いもよらない結末とは・・・